NPO法人FUKUSHIMAいのちの水

いのちの水について

2014年度以降の活動予定、抱負

赤ちゃんの手

改めまして、2014年度事業計画を本年度中に記載いたしますが、今予定されていますことを簡潔に記載いたします。

2013年4月に入ると、外部からのボランテァ団体は皆無となり、助成金の支援も極端に減少しました。
県内で活動していた殆どのNPOが撤退を余儀なくされました。
福島の現場では母親たちが不安を話すことさえできず、自分だけで子どもをたちを守ろうとしています。

ある母親は、私たちのサイトにこんな言葉を書き込みました。
 「いのちの水をありがとうございます。今月は申し込みが遅くなり、頂くことが出来ませんので、今月は自分で買って、姑にはいのちの水から頂いたと言って子供に飲ませます。」

又、ある方は、「雨樋を測ったら高μsv(当事者の希望により数値は伏せてあります。)ありました。
新しい家を建てたばかりで、この庭で子供と遊んで…、こんな夢をすべて壊されて、今のアパートに引っ越しました。この子のために、せめて奪われた以上の希望を取り戻さなければ…と思っています。」と書き込んでいます。

私たちは子どもが安全であるとわかるまで、これからも母親たちの味方をしていきます。

2013年以降、救援物資としての水の寄贈は極端に減り、私たちは救援品を求める活動から、フードロスの食料品を受け取る方法に変換しました。その結果、多くの食料品と共に水の供給も可能となりました。

現在の水の在庫は救援団体からの15トン、更に2014年1月には300トンが提供される予定。これは2014年の秋までの配給量です。これらの経験から、救援物資による福島県の児童、母親達への支援から、フードロスの受取団体へと変質することにより、長いスパンで支援を続けることが可能になると考えています。

当然、水だけでなく、多くの食料品を配給しなければなりませんから、現在のNPOを基盤として、「もったいないから、ありがとうユニオン」(余剰生産物消費者組合Surplus production Consumers Union)を建て上げ、フードロス食品の大きな受け皿を作ります。

これは、福島県の15万人といわれる仮設住宅居住者から始め、東北の被災地全体に活用できる方策であり、ひいては全国で用いられる可能性を秘めていると考えます。

フードロス食品の活用により、被災者のエンゲル係数が下がり、児童の健康維持にかける費用を増せることは、水の供給よりも現実的被爆対策となるでしょう。「奪われた以上の希望」にとどまらず、「奪われた以上の夢、失った以上の希望」を提供し続けていくため、このプロジェクトを遂行していきます。

2013事業計画書

water

事業名 FUKUSHIMAいのちの水プロジェクト
団体名 NPO法人FUKUSHIMAいのちの水
理事長 奧山 實  代表理事坪井永人 
社員 平栗恵美、紺野ひろみ
2013年4月

1. 事業目的

「ひとりの子のいのちを救うために」というキャッチフレーズのもと、ミネラルウォーターの無償配布により、内部被爆を軽減し(個人支援)、放射能被害を受けた母親達に、傾聴の場としてのサロン座談会を提供し(組織的支援)、更に、通勤圏内避難住居の建設(生活環境的支援)によって、児童とその保護者とに、希望と生きる強い意志を喚起することで、放射能症軽減、不安による堕胎、社会崩壊を防止することを目的とする。

2. 事業地

本部事務局は福島県郡山市に置き、事業範囲を福島原発事故による放射線汚染被害を受けた県内全体とする。特に、原発20キロ圏内から南相馬、飯館、川俣、福島、二本松、郡山を重点的にケアーする計画である。受益者は県内居住の妊婦から小学生までとする。

3.事業概要

事業コンセプトは「母性の痛みへの理解と寄り添い。」「放射能災害への解決策の提示」
キャッチコピーは「ひとりの子のいのちを救うために。」
事業施策は、
①ミネラルウォーターの無償配給
虚無感の中にいる被爆者に、ミネラルウォーターの配給をすることによって、「励ま し」を与える。特に、妊婦、乳幼児に焦点を当てて、内部被爆による放射能症、放射能フォビア、恐れによる堕胎等の被害を軽減する。更に、煮炊きにまでミネラルウォーターを使用している乳幼児のいる家庭の経済的負担を軽減し、これらの希望的行為によって、弱っている母性を「励まし、子と共に生きる強い意思を喚起させる」。
年度内600tを配給する。120万本のやさしさを与えることが目標である。

母親サロン座談会(放射能啓蒙カンファレンスからの発展事業)
低レベル放射能被害の中にある人々の主訴は、「頑固な倦怠感」(肥田舜太郎被爆医師)である。特に、母親達の虚無感への対策として、母親達が痛みを話すことの出来るサロンを設営する。「よく聞く」ことによって、母性の痛みに共感し、カタルシス(精神的浄化、肉体的治癒)が生じることを目指す。

③本部倉庫、ビルシュルター化プロジェクト
児童の生活圏内に、クールスポット(低減放射線量スペース)を作ることが、最も身近な放射能対策である。学校、公園の除洗、児童屋内遊戯施設の建設等がなされているが、高学年児童の勉強施設が必要である。当NPOは、300坪の敷地にある160坪の屋内スペースを放射能除去空気清浄機によって、線量低減を図り、児童のクールスポットを作って提供する。

④通勤圏内避難住居建設
現在の情報における最善の放射能症対策は「避難」である。しかし、遠方への避難によって様々な障害が起こっている。次善の策は、保護者の通勤圏内での避難スペースの建設である。そこで、トレーラーハウスタウン策を提言する。
猪苗代湖周辺は0.05μsvと線量が低い。ここにトレーラーハウスを設置、インフラは水をサーバー、電気を仮設、トイレを汲み取りとすれば瞬時に住環境が出来、撤去も簡便である。3年で500棟、初年度は50棟を目指している。

⑤インターネット放送局
すべて事業の根幹となるのがIT技術である。今回の放射能症の治癒に唯一効果が期待される「傾聴」(肥田所見)を具現化することのできるツールがデジタルITである。インターネット放送局は、その直近の具体策である。バーチャルの世界とリアルの世界との接近が21世紀のテーマであろうが、そこまでは行かなくても、せめて新しいメデアの発芽を担ってゆくつもりである。

4. 事業内容

『もう産まない』ぬぐえぬ不安」これは、2012年6月15日(金)の毎日新聞、ボランテア版の一面トップ記事である。2011年ではない。震災から1年以上過ぎた今年6月の記事である。宮城、岩手は初期救援を終え、国内外のボランテア団体も、救援から撤退している今年6月の時点で、福島の原発事故による放射能災害の中にある人々は、このような状態にあるのです。私達のシンクタンクのサイコセラピストよれば、「福島の人々は、レイプ被害者と似た症状になっている。」と言われている。2012年7月21日(土)「母親サロン座談会」というカンファレンスの中で、若い母親が、「福島で、このまま子供を育てて居て良いのか迷います。どうしたらいいのかわかりません。」と泣きながら訴えた。これが福島の日常である。低レベル放射能が人体にどんな影響を及ぼすか、誰にも明言する事が出来ない今、母親達が心配するのは当然のことです。水道の水からは、放射能値は検出されていないと言われていますが、検出者と方法に信頼を置くことの出来ない現状では、母親の直感と、広島の経験に聞く他は無いのです。誰も、危険が無いと明言できず、放射能症の治療法が無い現状では、危険と思われる妊婦、乳幼児には、最悪の場合を想定し、今出来る事を実行して、子供達を守らねばなりません。
これらの現状分析から、次の事業活動を行なってゆく。

①ミネラルウォーターの無料配布=「励ますこと。」
ミネラルウォーターを無料配布し、FUKUSHIMAの弱っている母性を励まし、育児への強い意思を喚起する。
福島の問題が宮城、岩手と違うのは、被害の実情が分からないという事と、除染の規模が大きすぎて、不可能だと思われていることである。特に母親達は、強い虚無感の中で育児をしている。希望的行動は、人々の中に希望を生み出す。そこで私達のは、彼らの一番困っていることを援助し、見捨てられ不安の解消と、笑顔と感謝の回復、それが希望を生み出し、さらに「生きることへの強い意思が喚起され」、福島の母親達の母性を励まし、子供達の命が守られる事を目指す。県内の小学生以下の児童数は、おおよそ20万人と考えている。そのうち、未だに空中線量が高い浜通り、中通り(南相馬、飯館、川俣、伊達、福島、二本松、郡山)に居住する児童は、約10万人と思われる。これの最も弱っている場を中心に、できるだけ多くのミネラルウォーターを配給する。
既に、累積で600t、500mlボトルで120万本の配給を行なってきた。県内の膨大な対象児童数からは、ほど遠い量であるが、噂が噂を呼び、2012年7月21日には、私達の倉庫は水を求める親達に取り囲まれてしまった。混乱を収めるため、予約制にして、現在は整然と配給が行われている。配給量は全体の必要量を満たすことは出来ないが、「私達は見捨てられていない。」と言う強いメッセージを福島の母親達に送っている。
事業スペックは、配給所は郡山本部倉庫(敷地300坪、倉庫面積80坪)、トラック2t1台、リフト1.5t1台、ハンドリフト1台。スタッフは、坪井、平栗、紺野、その他、ボランテア数名。2013年度配給目標は、600t。

母親サロン座談会=「よく聞くこと」
定例(月一回、週一回)の母親サロン座談会によって、福島の母親の中に、傾聴、共感、癒しを期待する。
広島の被爆者でもある肥田医師は、被爆者の主訴を「頑固な倦怠感」と言っている。治療として、「よく聞くこと」をあげている。東北の被災地は挙げて復興の声に包まれている。その中で、若い母親達は、自分の心配を抑圧し、平静を装うことを強いられている。子供のためにも、世間体からも何事も無かったかのように暮らしている。外部の人々が騙される所以である。2012年7月21日(土)、水の倉庫の2階会場で、母親サロン座談会という集まりを開いた。30名ほどの小さな会であったが、セラピストの講演の後、座談の時を持った。マイクを向けると、数名の若い母親が「どうしていいか分からない」と涙ながらに訴えた。私達も一緒に泣くしかなかったが、これが「よく聞くこと」のための働きを生み出してくれた。母親達は水を貰いに来て、女性スタッフとよく話す。2階のサロンに集まり、おしめを取り替えながら、お互いに話し合う。母親サロンは自然発生した。9月からは定例(月一回から随時週一回)のサロンとして、アドバイザーの医師や、おばあちゃんにも来ていただき、母親達の思いの丈を話すことのできる「よく聞く」サロンを作り上げる。更に、傾聴は、母親相互、アドバイザー(医師、経験者)に対してだけでなく、世界というフィールドを持つために、集団でアピールするデモを計画している。「子あじさいデモ」と名づけて、母親達の愛の涙のデモをサロンで定期的に行ってゆく。これらの傾聴とアピールの場を作ることが活動の第一である。
事業スペックは、集会場は水倉庫の2F集会室40坪、机、椅子、子供の遊具、おしめ交換室、プロジェクター、スクリーン、PA一式、バザー用展示台等、スタッフは、坪井、平栗、紺野、その他、外部アドバイザー等。

③本部倉庫、ビルシュルター化プロジェクト
現在、国が福島県内の除染を行なっているが、福島に住んでいる人々は誰も、除染によって帰還できるとは考えていない。解決方法は唯一、クールスポットでの生活習慣をつけることである。児童の生活圏内に、クールスポット(低減放射線量スペース)を作ることが、最も身近な放射能対策である。学校、公園の除洗、児童屋内遊戯施設の建設等がなされているが、高学年児童の勉強施設が必要である。当NPOは、300坪の敷地にある160坪の屋内スペースを建物の気密化工事と放射能除去空気清浄機によって、線量低減を図り、児童のクールスポットを作って提供する。様々な除洗業者が機材の提供協力を申し出ているので、資金の節約ができると思われる。

④通勤圏内避難住居建設
代表の坪井は、かって集合住宅建設のデベロッパーであったので、建設コーデネートを能力を持っている。大規模団地建設は困難であるが、車両付き住居の建設は容易である。遠距離への避難は様々な弊害を起こしているので、福島、郡山、南相馬、いわきへ通勤圏内での住居プランは、それらの弊害を抑えることができる。猪苗代湖周辺は0.05μsvと線量が低い。ここにトレーラーハウスを設置、インフラは水をサーバー、電気を仮設、トイレを汲み取りとすれば瞬時に住環境が出来、撤去も簡便である。現在、アメリカのボランテア団体との協議が進んでおり、テストケースとしてのトレーラーハウスの輸入を進めている。3年で500棟、初年度は50棟を目指している。

⑤インターネット放送局=FUKUSHIMAを癒す力、世界を変える力。
私達は当初から、自分達の事業のツールとして、インターネット放送局の立上げを考えてきた。21世紀は、デジタル技術による産業革命の時代と言えるであろう。どんな事業もデジタルIT技術の習得と利用なく、進展することは無い。今回、FUKUSHIMAの放射能被害と向き合った時、改めて人の意志の伝達ということが、どれほど大きな力であり、今まで、精神的、主観的と言われてきた「意志の伝達」というスキルが、具体性を持った防御と癒しの力であることを経験した。「聞くこと」励ますこと」を、精神的、主観的なものから、具体的、実際的なものとするために、どうしても研究、習得し、利用しなければならないツールである。当初、韓国CBSTVからの支援で日本CBSTV設立の方向で計画していたが、事業の遅延が生じているので、独自の資金を調達する必要がある。継続事業として推進してゆく。
事業スペックは、カメラ3台300万、編集機300万、周辺機器500万、PA300万、Ustream放映料100万

5. 受益者

母親サロン座談会は、福島県全体を支援対象としているが、特に高汚染地域の母親10万人を対象としている。会場が当初、水倉庫の二階を常設として使用すると、事実として、郡山を中心とした車で1時間圏内の母親達が多く参加すると考えられるが、サロン会場のリミットを勘案すると、毎週50人、月200人、年度内800人の母親がサロンで受益すると考えられる。しかし、これらは傾聴と励ましのムーブメントの種で、これらの母親からの口コミによって、多くの母親に安心と希望、励ましと生きる強い意志となって広がって行くと考えている。更に、このサロン活動は、インターネット放送局(計画中)によって紹介され、福島全県を傾聴と励ましのムーブメントで充し、震災前よりも強い生きる希望のムードで包んでゆくであろう。

②ミネラルウォーター無償配給は、高汚染地域の児童10万人を主たる配給対象に考えているが、真に対象とすべきは、妊婦1万人、1才未満児1万人の2万人であると考えている。しかし、それ以上の子供達の親の心配も同じであるから、配給を一部に限定する事は難しい。当面、12才以下の子供全員にして、不安の減少してゆくのを待つこととする。ゆえに、受益対象者は10万人となるが、供給力と配給力を勘案すると、一ヶ月50t、10万本。概数で月2万人(経験値)。今年度内延24万人が受益者と考えられる。

6.関係団体との連携・調整

震災後最初の配給は、飯館村2万本。社協を経由して全村に配給した。更に、福島県私立幼園協会を通して幼稚園へ。三春町社協を通して三春町の仮設住宅へ。郡山市の私立保育園協会を通して市内保育園へ。各仮設住宅の管理組合を通して双葉、河内、大熊、葛尾村の仮設住宅への配布等。更に、うつくしまNPOネットワーク等との連携によって、水の確保を行なっていっます。又、県内の他のNPOとの連携によって、水の配給ルートを拡充しています。ジャパンプラットホーム、三菱復興財団、赤い羽根共同募金会には、助成金の交付を受け、この事業を協同している。

7. 事業管理体制

(1)人員配置
本事業は、昨年からの継続の中で実行されてきた。昨年、ボランテアで参加していた坪井永人、平栗恵美、紺野ひろみは、NPO法人設立後社員として雇用された。
坪井は経営全般、サロンについてはカウンセリングを担当、水配給については仕入れ、機材の確保、リフト運転。
平栗は会計、総務、HP管理、映像コンテンツ作成、サロンについてはサロンコーデネーター。
紺野は配給受付、配給管理、在庫管理、サロンについてはサロン緑化管理等をそれぞれ担当する。
シンクタンクは、コーデネーターに富永国比古医師(公衆衛生学博士)を委嘱している。

(2)資金管理
会計担当は、平栗恵美が専従し、状況に応じて会計事務所を使用するつもりである。平栗が現在担当しているHP管理、映像作成が非常に煩雑であるので、この部門に新しい担当者をつけ、平栗が会計、資金管理に専従できるようにする。会計監査は理事会において行う。

8. 団体概要

沿革
当NPO法人は、2011・3・11震災の3日後に、キリスト教会の救援団体として、「緊急支援援助隊アガペーCGN」の福島県支部として活動を開始した。5月に入り、宮城、岩手の状況と福島の放射能災害の違いを知り、ミネラルウォーターの配給を中心とした福島独自のNPOを設立した。支援の水、運営資金は、主に内外のキリスト教会から送られ、担当者はボランテアで奉仕し、リフト、トラック等の機材も無償で借り受けて運営された。2011年12月に、NPO法人となって独立し、一年を過ぎてキリスト教会からの支援は終了したが、2012年からは各種助成金を受け、宗教性を持たないNPO法人としての経営に切り替えてきた。現在まで500t、100万本の配給をしてきた。
活動の目的は、「ひとりの子の命を守るために」というキャッチコピーの如く、福島の子供達の命を守ることであり、それは福島の母性に信頼し支援することで成し遂げられると信じている。この一年の経験により、支援の方法は、傾聴と励ましにあると感じ、サロンと水の配給を中心活動を継続することにした。今年度はサロンの拡充と通算500tの水の配布を目指している。

(1) 人員配置:
代表理事 坪井永人  経営全般、仕入れ、カウンセリング
社員   平栗恵美  会計管理、HP管理、サロンコーデネート
社員   紺野ひろみ 配給受付、配給管理、在庫管理、緑化管理
他、ボランテアスタッフ 8名 随時参加

(2) 団体代表者:
理事長 奥山 實 経営指導、会計監査、シンクタンク指導

(3)所在地:福島県郡山市安積1丁目3番地5号(事務所)
(連絡先)・電話: 024-945-0403
・FAX: 024-945-0403
・E-mail:fukushimainichinomizu@gmail.com
・URL:www.fukushimainochinomizu.com

(4)事業担当・連絡責任者:坪井永人
(連絡先)・電話:090-7079-5011
・FAX: 024・945・0403
・E-mail:fukushimainochinomizu@gmail.com

(5)法人格:
・設立時期: 2011年12月26日
・初年度の総支出額: 4,700,000円(法人認定前)
・直近年度の寄付収入額: 10,000,000円

(6)連携している組織、連携内容:
提携団体
・うつくしまNPOネットワーク =供給
・セカンドハーベスト=供給
・CRESTマレーシア=供給
協力団体
・三菱商事復興支援財団=助成
・NRA=供給・TechSoup Japan=助成 ・福島県全私立幼稚園協会=配給
・福島北部保育園組合=配給 ・大和キリスト教会=助成 ・練馬栄光キリスト教会=助成
・日之出キリスト教会=助成 ・J.Pモルガン=供給 ・単立ペンテコステ教会フェロシップ=助成
・BGEA =助成       他 多くの団体、個人の皆様方。

2012年度FUKUSHIMAいのちの水事業報告

いのちの水

1.事業目的

「ひとりの子のいのちを救うために」というキャッチフレーズのもと、放射能被害を受けた母親達に、傾聴の場としてのサロン座談会を提供し、更に、ミネラルウォーターの無償配布により、内部被爆を軽減し、希望的行為によって励ましを与え、乳幼児とその母親に、生きる強い意志を喚起することで、放射能症、不安による堕胎、社会崩壊を防止することを目的とする。
昨年実績300t(500ml×60万本)を受け、今年度は500t(100万本)を目指す。

2.事業地・事業の成果

概要

本部事務局は福島県郡山市に置き、事業範囲を福島原発事故による放射線汚染被害を受けた県内全体とする。特に、原発20キロ圏から、南相馬、飯館、川俣、福島、二本松、郡山を重点的に支援する計画である。受益者は県内居住の妊婦から小学生までとする。
事業コンセプトは「母性の痛みへの理解と寄り添い。」
キャッチフレーズは「ひとりの子のいのちを救うために。」

事業実施概要

母親サロン座談会(放射能啓蒙カンファレンスからの発展事業)
月1回、水配給倉庫2階、40坪スペースに、サロン、幼児の遊場、バザースペースを常設。
震災後2年を経過し、世間は放射能災害を忘れようとしている中、取り残された母親達の絶望と虚無感への対策として、母親達が痛みを話すことの出来るサロンを設営し、「よく聞く」ことによって、母性の痛みに共感し、カタルシス(精神的浄化)が生じることを目指した。普及活動として計画したインターネット放送局活動は、ハード構築を終え、コンテンツ制作段階に入っている。

②ミネラルウォーターの無償配給
虚無感の中にいる被爆者に、ミネラルウォーターの配給をすることによって、「励まし」を与えた。特に、妊婦、乳幼児に焦点を当てて、内部被爆による放射能症、放射能フォビア、恐れによる堕胎等の被害を軽減する。更に、煮炊きにまでミネラルウォーターを使用している乳幼児のいる家庭の経済的負担を軽減し、これらの希望的行為によって、弱っている母性を励まし、子と共に生きる強い意思を喚起させる事を行なった。
2012年度配給実績、380万トン、76万本の配給を行なうことが出来た。

3.事業計画変更の記録

母親サロン座談会
当初、サロンは常設とし、常時、母親達の来訪があるようにしたいと考えたが、サロンの設置工事費用の助成が受けられず、不十分な設備であったこと、更に、水の配給時に100名ぐらいの母親が配給所に来ても、駐車場が狭く、長く滞留することができなかったことなどの理由で、常設サロンの2階スペースまで、母親達が上がってこなかった。2012年後半からは、月一回のサロンに重点を置き、専門カウンセラー(医師)の協力で、少人数への極めて専門性(セラピー色)の高いサロン運営にしていった。
このサロンは、傾聴によるセラピー色と共に、啓蒙教育的側面を持っている。サロン情報を流すインターネット放送局は放射能の社会啓蒙機能を期待し、現在開局進行中である。

②ミネラルウォーター無償配布
当初配給量を500㌧100万本/500mlと考えていたが、その根拠となっていた韓国CBSTV関係の水供給ルートが、竹島問題等で支援が遅れ、2013 年にずれ込んでいる。幸い、国内供給団体(セカンドハーベスト)からの供給が増大し、結果的に380㌧76万本(76%の達成率)の配給量となった。

4.事業の成果

活動実績、結果、上手くいった点

母親サロン座談会=「よく聞くこと」…押殺した悲しみからの解放。
定例の母親サロン座談会によって、母親達の言葉に傾聴する時を持った。

広島の被爆者でもある肥田舜太郎医師(93才)は、被爆者の主訴を「頑固な倦怠感」と診断、「傾聴」が唯一の治療法と述べている。
福島の母親達の現状は、正にこの症状を現している。2012年から2013年にかけて、月一回のサロンを持ったが、サロン座談会に来る母親達は、皆若く、極めて健康そうな人々に見えるが、一旦話しをしだすと、例外なく泣き始める。抑えられていた感情が堰を切ったように吹き出してくるのだ。

彼女達の主訴は、「押殺した悲しみ」と言えるだろう。2011年の当時は、日本全体が恐怖を共有していたが、今は、皆、何もなかったかのように平時に戻り、放射能の恐怖を未だに語る人々をフォビア(不安神経症)と決め付けてしまう。
もう放射能の被害は終わったこととして、復興に乗り出すのが大人の態度という風潮が幅をきかせている。その中に若い母親達がマイノリティ(少数者)として取り残されている。
通常のマイノリティではない、子供が殺されるかもしれないという恐怖の中に取り残されたマイノリティである。

2013年3月16日(火)、水の倉庫の2階会場で、母親サロン座談会が開かれた。会の中で一人の若い母親が、1才にならない子供を抱きながら話したくれた。
2011年3月11日、彼女は結婚を控えて関東地方の実家に住んでいた。原発事故後、悩みながら福島に嫁いで出産を迎えた。周囲からは避難を勧められたが、彼女にはそうすることが出来なかった。幼子のために高価な線量計を買って身に付けている。少しでも被爆しないように、年間1msv以下に累積被曝量がなるように。母乳をあげるべきかどうかで悩んだ末、「この子の、心のために」と母乳で育てる事を決心した。
一言一言確かめるように語りながら、大粒の涙をながしていた。私達は、この母子を抑圧しているのは、今の社会(私達自身)だと思った。

チェルノブイリでも、広島でも、これらの事例は不安神経症として処理され、行政による救済の対象とならなかった。
今回も、同じことが起こっている。
往々にして、社会は少数者を抑圧する。21世紀はそであってはならない。FUKUSHIMAからそうでない行為を行なってゆくべきだ。
FUKUSHIMAいのちの水はそのための先駆的役割を果たして行く。

②ミネラルウォーターの無料配布=「励ますこと。」…希望の象徴的事業
ミネラルウォーターを無料配布し、FUKUSHIMAの弱っている母性を励まし、育児への強い意思を喚起する活動を行なった。
「押し殺された悲しみ」は、まず、傾聴によって和らげられ、更に希望的行動によって、「生きる強い意思」に変えられてゆきつつある。

福島の問題が宮城、岩手と違うのは、国が被害の実態を住民に理解させていないという事と、唯一の復興策の除染の規模が大きすぎて、だれも本当に除染できるとは思っていないことである。
特に母親達は、強い虚無感の中で育児をしている。希望的行動は、人々の中に希望を生み出す。そこで私達は第二の活動として、彼らの一番困っていることを具体的に支援し、見捨てられ不安の解消と、笑顔と感謝の回復を図った。
そのことで希望を生み出され、さらに「生きることへの強い意思が喚起され、母親達の母性を励まし、子供達の命が守られる事を目指した。

138万本という数字は、今回の震災支援の中でも突出した数字であるから、2014年3月までこれを続け、200万本(1000t)、登録2000人を達成することによって、社会的抑圧状態の中にあるFUKUSHIMAの母親達にとって希望のモニュメントとなると信じている。

県内の小学生以下の児童数は、おおよそ20万人と考えている。そのうち、未だに空中線量が高い浜通り、中通り(南相馬、飯館、川俣、伊達、福島、二本松、郡山)に居住する児童は、約10万人(推定)と思われる。
これらの最も弱っている場を中心に、できるだけ多くのミネラルウォーターを配給した。
3.11より累積で680㌧、500mlボトルで138万本の配給である。被爆児童10万人を対象とすれば13日分の量であるが、水を引き取りに来ている登録会員数1400名に対しては、一人当り月144本(500ml)配給している。これは児童が一ヶ月で消費する量と思われるので、保護者にとっては安心できる量である。
県外の人々から、「水道の水が飲めるのに、なぜ、ミネラルウォーターが必要か?」と問われる。その理由は明白である。
現在の科学、医学では低レベル放射能が、有害か無害かの結論は出ていないからである。
私達は知らないのです。
ミネラルウォーターが必要か不必要かにという問いに対する答えは、「あなたの子に、福島の水(浄水場汚泥89600Bq)を飲ませますか、飲ませませんか。」という問いに答える貴方自身の言葉に求めてほしいのです。(郡山の豊田浄水場の汚泥は2011・6・29計測で89600Bq/kg、現在まで数値変更の記載はされていない。URL:fukushima-radioactivity.jp)

4. 受益者

母親サロン座談会…一人々々を対象として大切に

福島県の高汚染地域の母親10万人を対象としている。当会の登録会員数は1400名(2013・4)であり、毎月100名づつ増加している。会場は水倉庫の二階(40坪)に常設。郡山を中心とした車で1時間圏内の母親達が多く、毎回20~30人(バザーを含む)である。
参加者全員へのグループカウンセリング(専任カウンセラー)と、専門の医師による個人カウンセリングを行い、一人々々を大切に、セラピー性の高いケアーをしている。参加した母親達からの口コミによって、多くの母親に安心と希望、励ましと生きる強い意志となって広がって行きつつある。

②ミネラルウォーター無償配給…福島のお母さん全員のケアーを目指して

同じく、高汚染地域の児童10万人を主たる配給対象に考えているが、真に対象とすべきは、妊婦1万人、1才から3歳までの4万人(大人の5倍の放射能感受性)であると考えている。しかし、それ以上の子供達の親の心配も同じであるから、配給を一部に限定する事は難しい。当面、汚染地区の12才以下の子供全員(10万人)を対象とし、行政の対策が行われるのを待っている。登録会員数は現在1400名(2013・3)、月100名以上づつ増加しており、2013・4をこえても減少する気配はない。

上手くいかなかった点

母親サロン座談会については、参加者を集めることがよそいう以上に困難であった。その理由は、今のFUKUSHIMAには、サロンなどというのんびりした意識は持てないということと、あまりにも多くの放射能に関する講演会で安心宣伝がされたので、母親達がセミナー等の集会へ嫌気がさしているという社会状況があるからであると思う。
私達は毎週でもサロンを行いたかったが、集まってくる母親達の人数を見て、サロンの運営方法を訂正することにした。
母親達は自分の心配を言えないでいるのだ。押殺した悲しみを吐き出せずにいる。自分の周囲では心配を話すと非難されてしまう。
このサロンでは、心配だと思っている人の集いだから、安心して心配を出せるという雰囲気を作ってゆきたい。おそらく、膨大な需要があると思われる。

②ミネラルウォター無償配布については、助成団体の理解を得ることが難しくなっている。これは、社会全体の放射能認識が、IAEA(放射能の安全利用促進団体)の安全認識をもとにしているからであり、不安要素をできるだけ排除しようとする傾向にあるからだと考える。
又、多くは災害後の復興支援を意図し、私達が福島は未だ緊急支援段階だとする支援案を理解することが出来ないのだと思う。
政府は最大多数の最大幸福を目指して政策を行うから、東北全域では事故後の復興策をとるのは当然であるが、私達福島のNPOは、国策の陰の部分にいる人々を丁寧に拾ってゆく必要がある。
県内の多くのボランテア団体が撤退しているのは、必要がなくなったのではない。助成金がなくなったのだ。
私達はこの環境の中でも粘り強く放射能弱者を支援し続けなければならない。そのためには現場の実情を各助成団体に理解してもらうことが私達の重要な役目である。又、経済的に自立した企業体質を持つ努力が必要だと痛感し、状況に合った経営策を検討中である。

5.他のアクターとの連携・調整

震災後最初の配給は、飯館村2万本。社協を経由して全村に配給した。更に、福島県私立幼園協会を通して幼稚園へ。三春町社協を通して三春町の仮設住宅へ。郡山市の私立保育園協会を通して市内保育園へ。各仮設住宅の管理組合を通して双葉、河内、大熊、葛尾村の仮設住宅への配布等。更に、うつくしまNPOネットワーク等との連携によって、水の確保を行なっている。又、県内の他のNPOとの連携によって、水の配給ルートを拡充しています。ジャパンプラットホーム、三菱復興財団、赤い羽根共同募金会等の助成金を受け、この事業を協同している。

・うつくしまNPOネットワーク =供給
・セカンドハーベスト(http://www.2hj.org/index.php/jpn_home)=供給
・NPO災害支援援助隊アガペーCGN(http://agapecgn.blogspot.jp/)=供給
協力団体
・赤い羽根中央共同募金会(http://www.akaihane.or.jp)=助成
・ジャパン・プラットホーム=助成
・CRESTマレーシア・クラッシュジャパン(http://crashjapan.com)=供給
・サマリタンズパース=供給
・NRA=供給   ・TechSoup Japan=助成 ・福島県全私立幼稚園協会=配給
・福島北部保育園組合=配給 ・大和キリスト教会=助成 ・練馬栄光キリスト教会=助成
・日之出キリスト教会=助成 ・J.Pモルガン=供給   他 多くの皆様方 

6.事業管理体制

(1)人員配置
本事業は、2011年からの継続の中で実行されてきた。一昨年、ボランテアで参加していた坪井永人、平栗恵美、紺野ひろみは、2011年12月26日、NPO法人設立後社員として雇用された。

坪井は経営全般、サロンについてはカウンセリング(キャリア45年)を担当、水配給については仕入れ、機材の確保、フォークリフトによる在庫管理。

平栗は会計、総務、HP管理、映像コンテンツ作成、サロンについてはサロンコーデネーター(音楽家)。

紺野は配給受付、配給管理、在庫管理、サロンについてはサロン緑化管理等をそれぞれ担当する。

シンクタンクは、コーデネーターに富永国比古医師(公衆衛生学博士)、専任カウンセラーに北川医師(小児精神科、内科)を委嘱し、毎月のサロンでカウンセリングを行っている。

(2)資金管理
会計担当は、平栗恵美が専従し、県(委嘱団体:ふくしまNPOネットワーク)の指導を受けて、PCソフト(会計王)による会計管理を行い、随時、監査理事(笹井)によって監査が行われ、理事会の承認を得て管理されている。

7.広報の実績

NPO2年を経て、広報は定着した。地方ミニコミを活用、常時無料有料広告掲載をし、地方紙の福島民報、福島民友等にたびたび広報掲載を行ってきた。又、多くのメデア取り上げられ、中日新聞(全国紙)からの取材記事も掲載された。その他、仏教系の雑誌の記事掲載、キリスト教系TV局(CGNTV、韓国CBSTV)等でのドキュメンタリー取材等が行われた。
Facebook, Twitter等でのWeb発信の効力は大きく、ボランテア募集等は、これらのルートで行っている。

8.その他の報告事項

3・11後、3年目を迎え、福島の雰囲気は大きく変わった。放射能問題は、原発の冷却と除染廃棄物の処理に絞られ、住民の被爆については、発言することが悪であるかのような風潮が醸し出されている。
私達も被爆問題がチェルノブイリのようなことにはならないこと願っているが、ふくしま集団疎開裁判(http://fukusima-sokai.blogspot.jp/)の証拠文献等(松崎意見書:北海道深川市立病院内科部長http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/kou131Matsuzaki-opinion.pdf)を読むと、山下医師(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー、4月退任)の主導した県の放射能安全所見を鵜呑みにすることが出来ないと感じる。

いずれにしても、放射能災害は未知の分野なのだ。山下氏自身が、10年後に結果が出ると言っているのだから、今はだれも決定的なことは言えないのであろう。たとえ、真実が分からなくても、福島の母達は子を育てなければならない。私達はここに生きて子を守る者として、最悪の状況を避けるよう行動しなければならない。

そこで通勤圏内避難者住宅の建設を提言する。
汚染地区の主要な都市から通勤1時間圏内に、トレーラーハウスキャンプを作る。坪井は元デベロッパー。団地造成の専門家である。その困難さと建設期間の長さを知っているが、トレーラーハウスであれば、短期間、低廉化、簡便に建設出来る。建設組合を作り、海外の支援団体に呼び掛け、トレーラーハウスを輸入。インフラは水をサーバー供給、電気は仮設、トイレは汲み取り、生活用水は地下浸透、教育はWebによるホームエデケーション。汚染地区内の住宅は現状のままで、これを月5000円ぐらいの定価化でレンタル。セカンドハウスとして使用する。これを期に、日本の中に有り余る余剰物資を還元させる組織を組立(例:フードバンク、グラミンBK等)、与え合う経済を作り上げてゆく。欧米違い道徳的倫理観の無い資本主義経済の中で、エコノミックアニマルと言われてきた日本に、奪う経済から、与える経済への変換をFUKUSHIMAの放射能の中から創造してゆく。
千年に一度の災害は、千年に一度のチャンスとなる。21世紀を戦争の無い世紀にするために。

文責 坪井永人     2013年3月

画像の説明

いのちの水活動報告

2012年8月(現在)

特定非営利活動法人 FUKUSHIMAいのちの水    
理事長 奥山實
代表理事 坪井永人

団体詳細

1. 団体名称 NPO法人FUKUSHIMAいのちの水
2. 対象エリア: 福島県 中通り、浜通り  
3. 事業実施期間:  2011年 3月 14日 ~ 2040年 3月 31日
4. 今年度事業総予算: 18,912,000円
5. 法人格:  特定非営利活動法人
6. 設立年月:  2011 年 5月(法人格取得 2011年12月26日)
7. 団体代表者氏名:奥山 實 役職名:理事長
8. 実務担当理事氏名:坪井永人 役職名:代表理事
9. 団体住所:〒963-0107 福島県郡山市安積1-3-5
10. 団体連絡先:Tel090-7079-5011(坪井)
Fax024-945-0403
E-mail fukushimainochinomizu@gmail.com
URL http://fukushimainochinomizu.com
11. 連絡可能時間等:曜日( 月曜~日曜)時間( 7時~18時)
12. 前年度の団体の運営体制: 総支出額(4,700,000円)
■ 有給職員 0人 ■ 無給職員 3人 ■ ボランティア 50人
■ 維持会員数 28人
13. 財源:(作年度の支出内訳)
■委託事業 0 % ■事業収入 0% ■助成金等61.7 % ■会費 6.2 % ■寄付金 24.7%

16. 団体について(設立目的・理念)

「ひとりの子のいのちを救うために」というキャッチフレーズのもと、放射能被害を受けた母親達に、傾聴の場としてのサロン座談会を提供し、更に、ミネラルウォーターの無償配布により、内部被爆を軽減し、希望的行為によって励ましを与え、乳幼児とその母親に、生きる強い意志を喚起することで、放射能症、不安による堕胎、社会崩壊を防止することを目的とする。
昨年実績300t(500ml×60万本)を受け、今年度は500t(100万本)を目指す。
事業コンセプト
事業コンセプトは「母性の痛みへの理解と寄り添い。」
キャッチコピーは「ひとりの子のいのちを救うために。」

17. 団体の活動

母親サロン座談会(放射能啓蒙カンファレンスからの発展事業)
低レベル放射能被害の中にある人々の主訴は、「頑固な倦怠感」(肥田舜太郎被爆医師)である。特に、母親達の虚無感への対策として、母親達が痛みを話すことの出来るサロンを設営する。「よく聞く」ことによって、母性の痛みに共感し、カタルシス(精神的浄化)が生じることを目指す。(インターネット放送局での普及活動を志向する)
②ミネラルウォーターの無償配給
虚無感の中にいる被爆者に、ミネラルウォーターの配給をすることによって、「励まし」を与える。特に、妊婦、乳幼児に焦点を当てて、内部被爆による放射能症、放射能フォビア、恐れによる堕胎等の被害を軽減する。更に、煮炊きにまでミネラルウォーターを使用している乳幼児のいる家庭の経済的負担を軽減し、これらの希望的行為によって、弱っている母性を「励まし、子と共に生きる強い意思を喚起させる」。
本年度は年度内500tを配給する。100万本の励ましを与えることが目標である。
③避難所、仮設住宅用物資支援
   仮設訪問、支援物資配布
④放射能災害の啓蒙セミナー
   2011・5 第1回放射能時代を生きる
   2012・6 第2回放射能災害シンポジューム(仮称)
⑤仮設住宅でのコンサート等
⑥ボランテアへの宿泊提供支援

福島県に住んでいる、幼子を持つ母親は、みな安全な水を必要としている。特に3歳児以下の子供、妊婦への放射能の影響は大きいにもかかわらず、具体的な援助の手がのばされていない。「FUKUSHIMAいのちの水」には毎日、母親、幼稚園から水の要請の電話がなりやまない。行政に何度も水の必要に対し働きかけてきたが、水に対しては基準値以下とのことで動くこができない。それにもかかわらず、母親達の心配は増す一方である。水への必要は切実である。この事業は、行政と市民との意識のズレを埋める事業であり、NPOでなければできないことである。
関係諸団体のご理解とご支援を願うものである。

18. 主要な事業において期待している変化や影響

①妊産婦、乳幼児への放射能病の不安軽減
福島県内出生率低下及び堕胎数を抑える効果。
②児童扶養者の経済的負担軽減
放射能情報への信頼の回復
④社会的うつ状態からの回復
⑤外来者による「見捨てられ不安」の解消

19. 活動の中で、印象的だったストーリー

当初、私達には200tの水の情報があった。
初めに県と市に提供を申し出た。
担当者が電話口で、「水道水が飲めるからいりません。」と答えた。
幼稚園に持ってゆくと、喜んでもらってくれた。
保育園は、もっと喜んでもらってくれた。
その後、保育園の先生から聞いたという、若いお母さんが倉庫を訪ねてきた。
「ただでもらえるのですか?何を持って行けばいいのですか?」と不安そうに聞いた。
「全部、ただです。なにもいりません。」と答えると、
目を輝かして、「ありがとう。」と涙ぐんだ。

20. 現在までの主だった成果

配給は、昨年5月から開始され、福島県内4ヶ所にストックポイントを置き、近隣の幼稚園保育園に配られた。2011年後半に至り、私立幼稚園協会が団体として受領することになり、配給量が増大した。
昨年の配布実績は、300t、500mlペットボトル60万本である。現在は、組織的配給ばかりでなく、園児の親からの口コミによる個人の引き取りが多くなり、ようやく、学齢児から乳幼児、胎児へと配給ルートが広がっている。
危険率の最も高いのは、妊産婦であるが、未組織であるため支援が難しい。
幼稚園から保育園を経由して、ようやく、学齢前の児童にまで至り、その友人知人から、妊産婦に情報が伝わり、徐々に、各ストックポイントに水を引き取りに来るようになった。そのリストからの運用によって、今後継続して、妊産婦、新生児に、ミネラルウォーターの配布をすることが出来るようになりつつある。
県内妊産婦、新生児の数は2~3万人と思われるので、そのすべてに配布するよう努力する。

21. 社会的動向と団体の活動、今後の方向性

2012年3月以降 (震災による社会変化)

●放射能漏れによる、放射能不安が広がり、福島は死の街となる。
●知らされない情報、解決の方策は誰も持っていなかった。
●被災地三県の転出者、4万3千人。内、福島からの転出者3万5千人。
福島に住所を残し、福島県から移動をしている人は6万人強
●小児科病院、幼稚園、保育園は多く、閉鎖に追い込まれる。
●原発周囲からの避難者、20万人。  
2012年3月以降(対応活動内容)
●2011年5月より、配給開始。
郡山を本部に、福島市、いわき市、南相馬市の4ヶ所に、水を備蓄するためのストックポイントを設定。
●郡山より、各ストックポイントまで配送。
2011年配布総量300t
●会員制の導入、HP、メール、ちらし等の広報胎児、乳幼児への配布に重点
●母親達による、「いのちの水ムーブメント」網の確立 家の近所の子供たちに配って貰う。
(これを中心にしたい。)

近未来(期待する夢)

●震災後5年、心配されていた子供の甲状腺がんの発症は、見られない。2012年当時、原発周辺に多数見られた児童の甲状腺のしこり、浮腫は、良性のものであったと報告される。
●放射能汚染に対する啓蒙が進み、安全な生活習慣が確立する。
●10年後、この災害による放射能症による死亡者は0であり、このNPO団体の活動は心配のしすぎだったと言われて、解散することを目指す。
●ここから世界に「ひとりの子のいのちを救うために」という愛と平和の運動が広がって行くことを期待する。  
(今後の活動方向)
●水を最低3年間は供給し続ける。
●次段階として、安心を与えるための思想、情報、の発信を行う。
主に、デジタル技術を用い、双方向的なコミュニケーションの中で、安心のムーブメントを指導する。(SNS、インターネット放送局建上げ等)
●「いのちの水基金」ファンドの充実全
●郡山本部だけでなく、各ストックポイントにも専従スタッフを置く。
●シンクタンクの成長により、郡山から世界への愛と平和の情報発信を行う。

22. 今年度事業の具体的な実施内容と目標

必要とする状況・課題

①安心できる水は、今後とも必要である。現在の胎児、乳幼児が3才になる時が一つの目安としている。今後3年間は水の配布が必要。
②堕胎に対する防止策が必要
③安心の情報と啓蒙が必要
④安心な環境は、自分で作る。自助精神が必要。
⑤専従奉仕者の就労環境を作ることが必要。
⑥継続的ボランテァの支援が必要。
⑦放射能の中で生活してい
る人による、死の実感の上に立った放射能情報が必要。そのためのシンクタンクを設立する必要。
⑧国内輸送費、倉庫費、管理等、運営資金が必要。

課題へのアプローチ

①昨年の実績から、今年の配布量は、月30t~60t強とする。水は、放射能と戦う人々の象徴である。配給ルートを確立し、より、胎児、乳幼児に近づく努力をする。
②安心のムードが必要。
インターネット放送局を利用する。
③現地主義のシンクタンク
による正しい情報の発信、教育 
④啓蒙活動、環境の肯定と
感謝のムーブメントを起こす。
自助グループ育成
⑤専従者の雇用促進助成金を利用
⑥既存ボランテァ団体との提携
⑦地元研究者への研究環境支援
⑧助成金の申請、支援献金の要請

	

事業の目標

①600t/年間目標。
母親達の連帯によって、出来る限り、胎児、乳幼児に近く配る。
②福島県の出生率が25%低下(2011/11)している。この数字を例年並みに戻す。
③インターネット放送局の建て上げ。
④啓蒙センター建設、除洗工事援助部隊結成,いのちの水ネットワーク組織化。
⑤当NPO法人の財務的充実
⑥ボランテア宿舎、サロンの建設。保険、支援環境
⑦シンクタンク設立、財政援助体制の確立
学者、医師、農工商業者、児童養育者等の自由な研究の場を設定
⑧今年度助成金目標1300万円、支援献金目標450万円、会費150万円

目標総括

当会の目的は、放射能災害の中にある乳幼児の内部被曝を軽減し、併せて、親達の精神的不安を軽減することを目的としている。

これまでの配給量は、300t(500ml×60万本)であるが、県内の小学生以下の子供(20万人)への必要量には遠く及ばない、胎児、乳幼児に限定して考えても、2~3万人と思われるので、ミネラルウォーターの需要は、膨大である。

浜通り、中通りの児童数を10万人とした場合、月間300万本、年間3600万本となる。それに対し、私達の供給目標は、年間120万本(600t)である。事故後1年を経て、親達の不安はかえって増大している。

母親達は飲料ばかりではなく、煮炊きにまでペットボトルを購入しているのが実態である。私達は、この状況をいささかでも軽減するため、出来うる限りのミネラルウォーター配給を続けたいと思っている。

ミネラルウォターのみで、内部被ばくの軽減は出来えないが、これらの運動が、母親たちの見捨てられ不安をいささかでも軽減し、堕胎防止につながることを願っている。

昨年の11月段階で福島県の出生数は1000名程が減少しているが、これが他県での出産であるかわかっていない。
今後とも福島県での出生は減少すると思われるが、堕胎数が増加しないように尽力したい。

私達の事業は、数年後には必要のないものとなるが、この災害によって、日本社会は大きな変化を与えられた。

それは公の情報が信憑性を失ったということである。かつて大本営発表という言葉があったが、今回の公情報はそれに等しいものであった。

それは今回のもう一つの災害であった。「悪魔の連鎖」(枝野談話)という言葉は、政府が福島県民を見捨てたということを示している。

国民は自分で自分の命を守る情報を手に入れなければならない。
その権利こそ民主主義の根幹である。
その故に、新しいメデアを設立する必要がある。
インターネット放送局は、その必要にこたえるために設立する。
あるがままの情報を操作せずに伝えるという単純なツールが必要である。

水を短期で配り、長期で放射能汚染地区密着のインターネット放送局を建て上げたい。
これが、堕胎防止、県の人口減少を軽減し、復興希望を与える力を持つと信じる。

又、母親達の自助ネットワークの設置、維持が必要である。
水を貰った母親が、近所子供達に水を配る事を通して、自助、自立の風潮が育ちつつある。この萌芽が、次世代を作る事を信じる。

津波、地震に加え、放射能災害を受けた福島は、千年に一度の災害と言われているが、それは同時に、日本の千年に一度の変化の時でもある。
時代の変化に貢献したいと考えている。

23. 事業の受益者

地域 福島県 中通り 浜通り 全域
年齢層 妊産婦 乳幼児 幼稚園児 保育園児 小学生
人数 3万~10万人

24. 事業終了後の対応や取組み

この事業には二度の終了時期がある。
第一は3年後の水の配布終了時。

次は、セシュームの環境汚染放射能値が半減期を迎える30年後である。
これは、福島の背負った十字架であり、避けることの出来ない歴史である。出来るならば忘れ去りたいことであるが、幼児の危険が続く限り、私達の活動はやめることが出来ない。

腰を据えて次世代まで受け継ぐことの出来る事業計画を立て上げていく覚悟である。

そのために、人を育成し(シンクタンク)、財政基盤を持ち(NPO法人)、社会再生の力(水、インターネット放送局)を養成すること、それを、この事業の終了点としたい。

25. 事業のスケジュール(年月実施事項)

2011年3月 災害支援援助隊アガペーCGN福島支部設立
5月    FUKUSHIMAいのちの水 開始
12月   県内4か所のストックポイントでの配布始まる
     ここまで300t60万本500ml配布

2012年1月 NPO法人認可
      NPO法人事務所開設

2月 海外支援団体現地打ち合わせ(韓国)

3月 国内外ボランテァからの水入荷45t
   県内4か所ストックポイントで配給再開 
6月 年間に渡り、水の配給30t~60t/月
   啓蒙セミナー【放射能被害カンファレンス】(仮称)
   インターネット放送局の開始
   母親達による「いのちの水ネットワーク」組織化
9月 各種援助啓蒙活動

この年の配布目標 600t120万本500ml

26. 事業の実施体制

運営………坪井永人  代表理事専従 
総務会計…平栗恵美  専従スタッフ 
現場管理…紺野ひろみ 専従スタッフ 

27.最後に

設立から今日まで、多くの団体、個人の皆様にご支援を頂き、NPO法人の認可を受けることが出来ました。
さらに認定NPOの認可を目指し、実績を積み上げてゆく所存です。私達の基盤団体はキリスト教会でありますが、福島再生の一翼を担わせていただき、社会的奉仕の務めを全うしたいと思います。

この業が、次代へのよき貢献を為すことが出来るよう願っています。
千年に一度の災害が、千年に一度の好機となるよう、皆様の御加祷、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

文責 坪井永人 

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