NPO法人FUKUSHIMAいのちの水

メッセージリレー#12『いのちの水会員 Pさん』

メッセージリレー#12『いのちの水会員 Pさん』

Pさん

12回目の『メッセージリレー』は、FUKUSHIMAいのちの水会員のPさんです。

MESSAGE RERAY #12

震災当時からの思い

震災当時のことを思い出すと、とても胸が苦しくなります。母親として我が子になんてことをしてしまったんだという後悔の気持ちが蘇ってくるからです。

原発事故のニュースを最初に聞いたときは、大変なことがおきたと思いましたが、自分たちの身に危険が差し迫っているという認識がまるでなかったです。普段通りの生活を呼びかける国や報道機関のいうことを鵜呑みにして生活していました。
私は当時妊娠中3ヶ月だったにもかかわらずです。つわりが酷く、息子とあまり遊んであげられなかったので、休日には公園に連れて行って遊ばせることもありました。除染もしていない公園で、地面との距離が近い息子がどれだけの量の放射線を被曝したか、おなかの子に影響がなかったのか、想像するだけで怖いです。

美しい自然が多い福島。しかし、震災当初そこで遊ばせてしまった事への後悔、不安な思いが絶えず心にあります。

なぜ政府は「外に出ない方がよい」と最初から注意喚起してくれなかったの?どうして本当のこと、情報を提供してくれなかったの?何で隠したの?!と怒りがこみ上げてきます。

この頃被爆してしまったことを思うと、今気をつけていることは些細なことに過ぎないのではないか、ほとんど意味をなさないのではないかと無力感に襲われることもあります。母親の勉強不足のせいで、、、福島県に住みながら、原発に対して意識がなかったせいで、、、と自分を責めてきました。

震災を乗り越えて、生まれてくるお腹の赤ちゃんはきっと逞しく成長しくれるに違いないと思って出産を楽しみにしていました。しかし、里帰り出産のため、実家に帰省した4日後に心停止、死産でした。直後は「無事に産んであげられなくてごめんね」と辛い日々でした。

書を読み、原因不明のケースも多いことが分かりましたが、次第に時間が経つにつれ、原発事故と関連はなかったのか?という思いが強くなっていきました。死産の原因が不明であるが故に放射線との関連を疑ってしまうからです。公的機関からのアンケートには何度も詳細を綴りましたが、ずっと返答はありませんでした。一昨年、一度お電話をいただき、「調査の結果、流産・死産と原発事故との関連性については因果関係はなし」という返答がありました。アンケート結果をまとめたところ、流産・死産が増えたとの数字は出ていないと聞きました。そう聞いても私の心は全く晴れませんでした。それどころかますます不信感が募りました。
流産や死産をした母親は精神的ショックも大きく、自分から人に話すことを嫌うし、話す場もない、一方的に送りつけられた記述式のアンケートにどれだけの人が回答したか分からない。それなのに因果関係がないと断言することなどできるのか!と思いました。因果関係を証明することなんてできないことくらい分かっています。ただ感情がついていかないのです。因果関係はなしではなく、不明と言ってほしいのです。誰かが話をきりだすと、実は私も、、、と流産や死産の体験を話して、ともに慰め合ったママが数人います。

4つばのクローバーを子供が見つけて持ってきたのに、素直に喜べない(放射能の影響を危惧して)と、涙するお母さん方を何人も見ています。

私は、今後も福島に住み続けるつもりです。放射線のことが気にはなりますが、外遊びもさせていますし、こどもたちは以前とほぼ変わらない生活をしています。
ただし、低線量被曝からこどもたちを守るために、母親として、3つのことを必ずやっていこうと心に決めています。こどもたちを保養に行かせることと検査を定期的に受けること、免疫機能を高めるような食事を心がけることです。

「FUKUSHIMAいのちの水」の存在

福島県内でも、放射線についての話をする場は限られています。日常的に話題にできることではありません。「まだ気にしているの?」「気にしすぎなんじゃないの」の声を恐れて、場所と人を選んで、ここなら話して大丈夫と思えるところでだけでしか話ができないのが現状です。誰にも理解されない、話せる相手がいない、それがストレスになっている母親も少なくありません。

2013年6月に行われた「原発事故現場からの報告」講師、名嘉幸照氏。福島原発を作り、管理し、事故対応をした技術者より、実際の現場の話をお聞する貴重な時間でした。

私は正直、何が正しい情報なのか、分からなくなっています。混乱しています。何の情報を信じたらよいのだろう。専門家の方々も意見がバラバラで、郡山の今の空間線量について、「大丈夫」という人もいれば、低線量でも「できることなら放射線は浴びない方がよい」という人もいる、「避難すべき線量だ」という人もいる。「空間線量は問題ないが、土壌汚染が深刻だ」、「今後、福島の健康被害がますます出てくるだろう」という声も聞こえてくる。私は、分からないからこそ、勉強を続けていくことが大切なのではないかと思います。最終的に判断するのは、親の責任だと思うけれど、それならば色々な意見を聞いて、自分の意思で判断したい。一方的な「もう福島は大丈夫」「甲状腺検査の縮小」「帰還を進めよう」という風潮に流されたくないです。
親が自分で判断できるように、勉強会など開催してほしいです。例え少数派の考えであったとしても、何十年か経って色々なことが分かってから、もしかしたら少数派だった考えこそが正しい考えかもしれない。だから色々な角度から話しが聞きたいです。

2016年2月母親サロン座談会スペシャル「第3回放射能を除去する食事法」講師の富永医師と、熱心に耳を傾かるお母さん方。

「Fukushimaいのちの水」では、月に一度母親サロンを開いて、学習の場や母親同士の交流の場を提供してくださっています。私は母親サロンのお話の中で、サンタさん(代表の坪井さん)が、言ってくれたことがずっと心に強く残っています。

母親サロン座談会の中、お母さん方と話す坪井サンタ

「私は、母親の直感を信じます。(医者のことも尊敬していますが)医者や組織のリーダーが言っていることよりも、福島に暮らしている母親が今、感じていることが正しいかもしれない。」

迷った時に励みになる言葉です。母親の直感を信じて、ずっと活動を続けてくれています。全国にも多くの支援者がいます。震災から6年が過ぎても福島のことを気にかけ、手をさしのべてくれる方々がいます。
本当に感謝しています。

シリア難民支援に対する思い

正直、報道を通してシリアのこどもたちや母親の辛い状況を見聞きしても、自分とは遠い世界のことのような気がしていました。
でもサンタさん(代表の坪井さん)の「世界中の母親からこどもを奪ってはならない」という強い想いに心を揺さぶられました。
シリアは遠い国だけれど、母親がこどもを守る気持ちは同じだ、もし自分のこどもがシリアのこどものような状況だったら、、、と考えるようになりました。
私も、少しでも力になれたらと思っています。
皆様、ぜひ支援をお願いします。

FUKUSHIMAいのちの水 会員 Pさん

支援物資の整理

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